訪ねてみたい市場・商店
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北海道の優れた農産物の魅力を全国に発信する卸問屋
カネキ⾦井商店
優れた農産物にさらに付加価値を
1905(明治38)年創業のカネキ金井商店は、戦後の食べ物が乏しい時期に北海道産のじゃがいもを全国に販売する事業を手掛け、今もじゃがいもを中心にかぼちゃ・大根・長いもなど、北海道の高品質な農産物を全国各地に販売する卸売業を中心に展開しています。農産物の流通体制が整わない戦後間もない頃から生産者との深い関係を築いてきた実績があり、全国の大都市圏の青果市場に野菜を卸しているほか、有名百貨店や老舗料亭、高級旅館などからも厚い信頼を得ています。
最も力を入れるじゃがいも「熟成北カムイの感動」は、秋に収穫した「きたかむい」という品種を自社の室(むろ)で低温のまま3~6カ月間寝かせ、甘みを引き出したオリジナル商品です。「じゃがいもがデンプン質を糖分に変えて凍結から身を守ろうとし、驚くような甘さが生まれる」と、4代目社長の金井喜宏さん。しっとりしていて煮崩れしにくく、さまざまな料理に適していることから料理人からの評価も高く、東京の一等地にあるレストランのシェフも愛用しています。
希少価値のある地元産の農産物を全国へ
金井社長の信条は「おいしいものを仕入れること」。じゃがいもはもちろんのこと、北海道産・道南産の優れた農産物を見いだし、全国に向けて発信することに力を注いでいます。
そのひとつが、畑を覆うマルチフィルムを使わずに、自然のままゆっくりと育てた洞爺湖産の長いも。甘みがあって粘りが強く、すりおろしても変色しにくいという特徴を持ちます。秋になっても畑から掘り出さず、そのまま冬期間寝かせた「春掘り」の長いもはさらに甘く、「厚切りでステーキにして食べるとおいしい」と金井社長。「『高くてもこちらのほうが良い』と認めてもらえるような、おいしくて希少価値のある農産物の魅力を発信し、全国にファンを作っていきたい」と意欲を燃やしています。